介護職の腰痛は「気合い」では防げない|移乗動作で腰に起きていること│岩倉市の接骨院
2026年10月8日
朝、利用者さんをベッドから車いすへ移す。その瞬間、腰に「ズキッ」と嫌な感じが走った——。でも人手は足りないし、次の対応も待っている。そうやってだましだまし働き続けている介護職の方は、本当に多いです。
こんにちは。岩倉市・一宮市で開院から延べ2万人以上の施術実績がある、いわくら肩甲骨骨盤接骨院です。当院にも介護施設で働く方が数多く来院されます。今日はまず知っておいてほしい事実からお伝えします。介護職の腰痛は、あなたの体力や気合いの問題ではありません。仕事の構造そのものが腰に不利にできているのです。
![]() | 国が「介護の現場は腰痛が多すぎる」と認め、わざわざ指針を改訂したほどの職業病です。まずはその数字から見ていきましょう。 |
衝撃の事実:職場の病気の6割が「腰痛」
📊 研究報告
厚生労働省の資料によると、休業4日以上の職業性疾病のうち、約6割を腰痛が占めています。さらに社会福祉施設を含む保健衛生業では、腰痛の発生率(死傷年千人率)が0.25と、全業種平均の0.1を大きく上回っています。社会福祉施設での発生件数は、10年間で約2.7倍に増加したと報告されています(厚生労働省・中央労働災害防止協会)。
この深刻さを受けて、厚生労働省は19年ぶりに「職場における腰痛予防対策指針」を改訂し(平成25年)、適用範囲を福祉・医療分野の介護・看護作業全般にまで広げました。つまり介護職の腰痛は「個人の不注意」ではなく「職業病」として国が認めているということです。
なぜ介護の動作は腰に不利なのか
移乗介助の瞬間、あなたの腰には3つの負担が同時にかかっています。

①前かがみ:上半身の重さが腰を支点にした「てこ」になり、負担が何倍にも増幅されます。
②持ち上げる:相手の体重の一部が、そのまま腰への圧縮力になります。
③ひねる:ベッドから車いすへ向きを変える動きが加わると、椎間板は前後の圧迫だけでなくねじれのストレスを受けます。
📍 POINT
この3つは、どれか1つなら耐えられても、重なると一気に限界を超えます。「いつもと同じ動作なのに、今日だけギクッときた」という経験があるはずです。それはその日たまたま3つが最悪の形で重なったということなのです。

「人力で持ち上げる」には限界がある
📊 研究報告
看護・介護における患者の手動での持ち上げについて検討した研究では、安全に持ち上げられる重量には明確な限界があり、それを超える介助は腰部の障害リスクを大きく高めることが指摘されています(Waters, 2007)。人ひとりの体重は、その限界をはるかに超えています。
厚生労働省の指針でも、「人力のみで抱え上げることは原則行わせない」方針が示され、リフトやスライディングボードなどの福祉用具の活用が推奨されています。ノーリフティングケアという考え方が広がってきたのも、この流れです。
とはいえ、現場では「用具がない」「そんな時間はない」のが実情でしょう。だからこそ、自分の体を守る知識と、限界が来る前のメンテナンスが今すぐできる現実的な対策になります。
介護職の腰、危険度セルフチェック
✅ セルフチェック
☑️ 朝起きた瞬間、腰がこわばって動き出しに時間がかかる
☑️ 移乗介助のあと、腰の同じ場所に鈍い痛みが残る
☑️ 前かがみから体を起こすとき、腰に一瞬つっかかる感じがある
☑️ くしゃみや咳で腰に響く
☑️ お尻から太ももの裏に、だるさやしびれ感が出ることがある
☑️ 「ぎっくり腰をやったことがある」または「なりかけたことがある」
☑️ 休みの日は良いが、勤務が続くと悪化する
3つ以上当てはまる方は、腰が限界のサインを出しています。特にしびれ感がある場合は、放置せず一度状態を確認させてください。
腰を守る3つの習慣
① ベッドの高さを10秒で合わせる
介助の前に、ベッドの高さを自分の腰〜へその高さに上げるだけで、前かがみの角度が大きく減ります。「面倒だから」と省略しがちですが、この10秒が1日で何十回分の負担を減らします。
② 「ひねらない」を最優先にする
3つの負担のうち、自分の意識だけで最も減らせるのが「ひねり」です。足を踏みかえて体ごと向きを変える。腰から上だけをねじらないことを、まず徹底してみてください。
③ 勤務後の「腰リセット」
うつ伏せになり、肘をついて上半身を軽く起こして30秒。1日中前かがみだった腰を、反対方向へやさしく戻します。痛みが出る場合は無理をせず中止してください。
セルフケアで戻らないのは「土台」が崩れているから
ケアをしても翌日には元通り——という方は、骨盤の傾きやねじれ、お尻の筋肉(中臀筋・大臀筋)の弱化が背景にあることが多いです。本来お尻と太ももで支えるべき負担を、腰の筋肉だけが肩代わりしている状態です。
1 検査で負担の集中点を特定
骨盤の傾き・ねじれ、股関節の動き、お尻の筋力をチェックします
2 腰まわりの緊張をリリース
かばい続けて硬くなった腰・お尻・太ももを丁寧に緩めます
3 骨盤・股関節から整える
腰ではなく股関節で支えられる体に戻していきます
4 現場で使える動作指導
移乗・オムツ交換など、あなたの業務に合わせた腰の守り方をお伝えします
📍 POINT
【選べる施術スタイル】当院では、しっかり関節を矯正する「ボキボキ整体」と、音を鳴らさない「ソフト整体」のどちらにも対応しています。ご希望とお体の状態に合わせてご提案しますのでご安心ください。
「骨や神経に問題があったらどうしよう」と不安な方も、まずは一度、当院で見せてください。国家資格者が検査で状態を確認し、医療機関での画像検査が必要と判断した場合は、当院から紹介状をお書きして連携します。順番に迷って動けないまま悪化させてしまうのが一番もったいないパターンです。
実際の来院例:特養で働く40代女性
岩倉市在住の40代女性・介護福祉士の方。「夜勤明けは腰が抜けそうになる。コルセットが手放せない」との訴えで来院されました。検査では骨盤の後傾とねじれ、中臀筋の出力低下、そして腰の筋肉の強い緊張。お尻がサボり、腰だけが働き続ける典型的なパターンでした。
腰まわりのリリースと骨盤の調整を行い、お尻の筋肉を目覚めさせる運動を宿題に。あわせて「ベッドの高さを上げる」「ひねらない」を現場で実践していただきました。数回の来院後、「夜勤明けの腰の抜ける感じが減った」「コルセットを使う日が減った」とご報告いただきました(※経過には個人差があります)。
よくあるご質問
Q. 仕事を休まないと治りませんか?
A. 完全に休めない前提でプランを立てます。動作の工夫・テーピング・施術を組み合わせ、働きながら整えることを目指します。
Q. コルセットはずっと着けていて大丈夫?
A. 痛みの強い時期の補助としては有効ですが、頼りきると体幹の筋肉が働きにくくなります。外していける状態を目標にしましょう。
Q. 労災は使えますか?
A. 業務中の突発的な出来事による腰痛は労災の対象になり得ますが、判断は職場と労働基準監督署になります。当院では施術の記録面でご相談に応じます。
Q. しびれがあるのですが施術を受けられますか?
A. まずは一度当院で見せてください。検査で神経の関与や画像検査の必要性を判断し、必要な場合は紹介状をお書きして連携します。
Q. 夜勤明けでも来院できますか?
A. はい。夜勤明けの午前中にお越しになる方も多いです。ご予約時にお伝えいただければ、体調に配慮した施術を行います。
🔗 関連ページ
▶ 腰痛(慢性的な腰の痛み全般)
▶ ぎっくり腰(急な激痛が出たときは)
▶ 腰椎ヘルニア(脚のしびれを伴う方)
▶ 坐骨神経痛(お尻から脚のだるさ)
▶ 骨盤矯正(腰の負担を分散させる土台づくり)

利用者さんを支えるあなたの腰は、誰が支えますか。
「まだ動けるから大丈夫」の前に、一度状態を見せてください。
参考文献
- 厚生労働省・中央労働災害防止協会「社会福祉施設の労働災害防止(介護従事者の腰痛予防対策)」(保健衛生業の腰痛発生率は全業種平均の約2.5倍、社会福祉施設で10年間に約2.7倍に増加)
- 厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」平成25年改訂(19年ぶりの改訂で介護・看護作業全般に適用拡大、人力のみの抱え上げは原則行わせない)
- Waters TR. When is it safe to manually lift a patient? Am J Nurs. 2007.(手動での患者の持ち上げにおける安全上の限界)
- Nachemson A. The lumbar spine: an orthopaedic challenge. Spine. 1976.(姿勢による椎間板内圧の変化)
店舗情報

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