四十肩・五十肩

- ある日突然、腕が上がらなくなった
- 夜、寝返りを打つだけで肩に激痛が走る
- 髪を洗う・エプロンの紐を結ぶ動きがつらい
- 痛みは減ったのに、肩が固まって動かない
- 「そのうち治る」と我慢している
- 肩こりとの違いが分からない
「ある日突然、腕が上がらなくなった」「夜、寝返りを打つだけで肩に激痛が走る」——そんな症状でお困りではありませんか?
それは単なる筋肉の疲れ(肩こり)ではなく、医学的に「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」と呼ばれる、いわゆる四十肩・五十肩の状態かもしれません。
![]() | 四十肩・五十肩は、時期によってやるべきケアが真逆になるのが最大の特徴です。 |
四十肩・五十肩とは?

肩の関節を包む「袋」のトラブル
肩関節は、関節包(かんせつほう)という袋に包まれています。加齢や使いすぎで関節包やインナーマッスル(腱板)に小さな傷がつき、そこで炎症が起こって袋が分厚く硬くなっていく——これが四十肩・五十肩の正体です。
髪を洗う・帯を結ぶ・上着を着るなど、日常の何気ない動きが急につらくなります。
📊 研究報告
四十肩・五十肩は人口の約2〜5%が経験するとされる、決して珍しくない症状です。また、糖尿病のある方では発症リスクが約5倍に高まることがメタ解析で報告されています(Zreik ら, 2016)。40〜60代で、特にきっかけなく発症することが多いのも特徴です。
3つの時期で、やるべきことが真逆になります

あなたは今、どの時期?
四十肩・五十肩は「炎症期→拘縮期→回復期」の順に進みます。自然経過の研究では、発症から回復までに平均で約30か月(2年半)かかったと報告されています(Reeves, 1975)。長い経過のどこにいるかで、正解のケアが変わります。
【炎症期】激しい痛みの時期(目安: 数週間〜9か月)
発症直後の最もつらい時期です。関節の奥で炎症が起きており、動かさなくてもズキズキ痛む(安静時痛)、夜中に痛みで目が覚める(夜間痛)、肩の奥が熱っぽい、といった症状が出ます。
📍 POINT
この時期に「固まらないように」と無理に動かすのは逆効果です。炎症の火に油を注ぐことになりかねません。痛みの出ない範囲で生活し、まずは炎症を落ち着かせることが最優先です。
【拘縮期】関節が固まる時期(目安: 4〜12か月)
激しい痛みが落ち着いた頃に訪れる、厄介な時期です。炎症で傷ついた関節包が修復の過程でかさぶたのように硬くなり、周囲と癒着(ゆちゃく)して、まるで凍りついたように固まります(医学的には「拘縮」、海外ではfrozen shoulder=凍結肩と呼ばれます)。
痛みは減るのにある角度から先へ腕が全く上がらない、髪を洗う・背中に手を回す動作ができない、無理に動かすとスジが突っ張るように痛む——という状態になります。
【回復期】動きを取り戻す時期(目安: 1〜2年目以降)
硬くなっていた組織が少しずつ緩み、回復に向かう時期です。ただし、ただ待っているだけでは「元通り」にはなりません。長期間動かさなかった肩まわりの筋肉は衰え、正しい使い方の感覚も忘れています。この時期は、固まった関節の動きを取り戻すケアと、肩を支える筋肉の再教育が大切になります。
夜、肩が痛くて眠れない方へ
夜間痛には「寝方の工夫」を
四十肩のつらさの代表が夜間痛です。横向きで痛い側を下にすると肩がつぶれ、仰向けでは腕の重みで関節が引っ張られて痛みが出やすくなります。
肘から手首の下にクッションやタオルを入れて、腕を少し体から離して支えると、関節への引っ張りが減って楽になる方が多いです。今夜からできる工夫として、ぜひ試してみてください。

「放っておけば治る」の大きな落とし穴
📊 研究報告
「そのうち自然に治る」と言われがちな四十肩ですが、長期間の追跡研究では発症から平均7年後でも約半数の方に痛みや動きの制限が残っていたと報告されています(Shaffer ら, 1992)。別の研究でも、平均4年以上たった時点で約4割の方に何らかの症状が持続していました(Hand ら, 2008)。「放置しても全員がきれいに治る」わけではないのです。
![]() | 痛みを我慢して動かさない期間が長くなるほど癒着は強固になり、「痛みは消えたのに腕が上がらない」という状態が残りやすくなります。 |
その肩の痛み、本当に四十肩ですか?
実は「四十肩だと思っていたら別の問題だった」というケースがあります。特に多いのが、肩のインナーマッスルの腱が切れる腱板断裂(けんばんだんれつ)です。以下に当てはまる場合は、自己判断せず整形外科での画像検査をおすすめします。
✅ 転倒や重い物を持ったケガのきっかけの後から痛み出した
✅ 腕を上げようとすると力が入らない(痛みより「上がらない」が強い)
✅ 60代以降で急に症状が出た
✅ 発熱や安静でも悪化する痛みを伴う
⚠️ こんな場合はまず医療機関へ
上記に当てはまる場合や、しびれ・強い脱力を伴う場合は、まず整形外科で検査を受けてください。検査で骨や腱に大きな問題がないと確認できれば、当院が体の動きの面からしっかりサポートします。
いわくら肩甲骨骨盤接骨院の四十肩・五十肩ケア


カギは「肩甲骨」——腕上げの1/3は肩甲骨の仕事
あまり知られていませんが、腕を上げる動きは肩関節だけで行うのではなく、腕2:肩甲骨1の比率で肩甲骨が一緒に回ることで成り立っています(肩甲上腕リズム)。
つまり腕上げの約1/3は肩甲骨の仕事。肩甲骨が固まったままでは、肩関節だけに負担が集中し、痛みや動きの制限から抜け出しにくくなります。当院の名前に「肩甲骨」が入っているのは、ここへのアプローチが強みだからです。
① カウンセリングと検査で「今の時期」を見極める

いつから・どんな動きで・夜の痛みはあるか——を丁寧にお聞きし、肩の可動域と肩甲骨の動きを検査します。
炎症期・拘縮期・回復期のどれにいるのかを見極めることが、すべての出発点です。時期に合わないケアはかえって遠回りになるからです。
② 時期に合わせた施術
炎症期は痛みを悪化させない範囲で、肩まわりの緊張をやわらげ、夜の痛みを少しでも軽くする過ごし方をお伝えします。
拘縮期〜回復期は、硬くなった関節包や筋肉に対する手技、肩甲骨はがし、胸まわり・背中のケアを組み合わせ、固まった動きを段階的に取り戻していきます。施術方法は、しっかり矯正するボキボキ整体と音を鳴らさないソフト整体のどちらにも対応しており、お体の状態とご希望に合わせて選べます。

③ ご自宅でのセルフケアまで指導

回復を早めるのは、施術と施術の間の毎日の過ごし方です。
体を前に倒して腕の重みでぶらぶらと振る振り子運動(コッドマン体操)など、時期に合わせて無理なくできるセルフケアを個別にお伝えします。「今やっていいこと・まだやらない方がいいこと」が分かるだけでも、回復の道のりは変わります。
📍 POINT
四十肩・五十肩は対応の開始が早いほど、痛みの期間を短くし、動きの制限を残しにくくできると考えられています。「もう歳だから」と諦める必要はありません。違和感の段階でのご相談が、一番の近道です。

洗濯物を干す、髪を結ぶ、上着にすっと袖を通す。
当たり前の動きを、当たり前にできる毎日を取り戻しましょう。
つらい時期を一緒に乗り越えていきます!



参考文献
- Reeves B. The natural history of the frozen shoulder syndrome. Scand J Rheumatol. 1975.(自然経過は平均約30か月という報告)
- Shaffer B, Tibone JE, Kerlan RK. Frozen shoulder. A long-term follow-up. J Bone Joint Surg Am. 1992.(平均7年の追跡で約半数に症状残存)
- Hand C, et al. Long-term outcome of frozen shoulder. J Shoulder Elbow Surg. 2008.(平均4.4年で約4割に症状持続)
- Zreik NH, et al. Adhesive capsulitis of the shoulder and diabetes: a meta-analysis of prevalence. Muscles Ligaments Tendons J. 2016.(糖尿病で発症リスク約5倍)
- Inman VT, et al. Observations on the function of the shoulder joint. J Bone Joint Surg. 1944.(肩甲上腕リズム 2:1)







