ランナーの膝の痛み、犯人は「お尻」にいる|ニーインとケイデンスの科学│岩倉市の整体
2026年09月10日
走り始めて10分は調子がいい。でも5kmを過ぎたあたりから膝の外側がジンジンしてくる——。ストレッチもアイシングもしているのに、走るたびに同じ場所が痛む。その原因、実は膝ではなく「お尻」にあるかもしれません。
こんにちは。岩倉市・一宮市で開院から延べ2万人以上の施術実績がある、いわくら肩甲骨骨盤接骨院です。当院にはマラソン大会に向けて走り込んでいる方が数多く来院されます。今日は、ランナーの膝の痛みが「膝を休めても」「膝を揉んでも」なかなか解決しない理由を、解剖学と研究データからお話しします。読み終わる頃には、あなたの膝を守る本当の場所が分かっているはずです。
![]() | 先にお伝えすると、ランニング障害は決して珍しいことではありません。だからこそ「なぜ自分に起きたのか」を構造から知ることが、次のシーズンを変えます。 |
衝撃の事実:走る人の多くが、どこかを痛めている
📊 研究報告
長距離ランナーの下肢の障害についてまとめた系統的レビューでは、ランナーの障害発生率は研究により19.4〜79.3%と報告されています(van Gent et al., 2007)。そして最も多く痛める部位は膝。つまり、走る人にとって膝のトラブルは「例外」ではなく「王道の落とし穴」なのです。
ここで大切なのは、「だから走るのをやめよう」ではありません。発生率にこれだけ幅があるということは、痛める人と痛めない人を分ける要因があるということ。その要因の一つが、これからお話しする股関節まわりの筋力です。
犯人はお尻——「膝が内に入る」が全てを壊す
着地の瞬間、あなたの体重の何倍もの衝撃が片脚にかかります。このとき骨盤を水平に保ち、脚がまっすぐ着地するよう支えているのがお尻の横にある中臀筋(ちゅうでんきん)です。
中臀筋が働かないと、着地のたびに骨盤が反対側へストンと落ち、連鎖して膝が内側に入る(ニーイン)動きが生まれます。すると、太ももの外側を走る腸脛靭帯が膝の外側で強くこすれ、また膝のお皿の動きも乱れて、痛みにつながっていきます。

📊 研究報告
レクリエーションレベルのランナーを対象にした研究では、障害を起こしたランナーは、痛みのない側と比べて股関節の外転筋(中臀筋など)の筋力が弱かったことが報告されています(Niemuth et al., 2005)。つまり膝の痛みの原因が、膝から離れたお尻にあったというわけです。
📍 POINT
中臀筋がサボると、代わりに大腿筋膜張筋(骨盤の横から太ももの外側に伸びる筋肉)が働き続けて硬く縮みます。この筋肉は腸脛靭帯につながっているので、「サボり」と「働きすぎ」の両方が、腸脛靭帯を引っ張り上げて膝の外側でこすれさせるという二重の悪さをします。ここを整理せずに膝だけをケアしても、走り出せば同じことの繰り返しです。
もうひとつの犯人は「歩幅」——ケイデンスを少し上げるだけで変わる
フォームを変えるのは大変だと思われがちですが、実はピッチ(ケイデンス=1分あたりの歩数)を少し上げるだけで、膝への負担は目に見えて変わります。
歩幅が大きいと、足は体の重心よりずっと前で着地します。この「前で着地」はブレーキをかけながら衝撃を受け止める形になり、膝への負担が大きくなります。一方でピッチを上げると自然に歩幅が短くなり、足が体の真下に近い位置で着地するようになるため、膝にかかるモーメント(回転させる力)が減るのです。

📊 研究報告
ランニング中の歩数を意図的に操作した研究では、ピッチを普段より約5〜10%増やすと、股関節と膝関節にかかる負荷が減少したことが示されています(Heiderscheit et al., 2011)。スピードを落とさずに負担だけを減らせる、費用ゼロの調整方法です。
あなたの脚は大丈夫?ランナー向けセルフチェック
✅ セルフチェック
☑️ 片脚立ちで骨盤が落ちる:鏡の前で片脚立ち。上げた側の腰が下がる/体が大きく傾く
☑️ シューズの減り方に左右差がある
☑️ スクワットをすると膝がつま先より内側に入る
☑️ 走り始めは平気で、距離が伸びると痛みが出る
☑️ 膝の外側/内側の一点を押すとピンポイントで痛い
☑️ お尻の横を押すと硬い・痛気持ちいい
2つ以上当てはまれば「股関節がサボっている走り方」の可能性が高い状態です。このまま走行距離を伸ばすと、ケガのリスクが上がっていきます。
今日からできる3つのセルフケア
① 中臀筋スイッチ(左右10秒×3セット)
信号待ちや歯磨きの間に、お尻の横に手を当てて片脚立ちを10秒。手の下の筋肉がグッと硬くなればそれが中臀筋です。「使っている感覚」を脳に思い出させるのが目的なので、回数より意識が大切です。
② 大腿筋膜張筋ほぐし(30秒×左右)
骨盤の前外側の出っ張り(腰骨)のすぐ下を、手のひらで円を描くようにほぐします。ここが硬い人ほど腸脛靭帯が引っ張られています。お風呂上がりが効果的です。
③ ピッチを5%上げて走る
いつものペースのまま、歩幅を少し狭めて歩数を増やす意識で走ってみてください。メトロノームアプリや音楽のBPMに合わせると簡単です。最初は忙しなく感じますが、数回で慣れます。
それでも痛みが出るなら、原因は「走り方」ではなく「土台」かもしれません
セルフケアを続けても改善しない場合、骨盤の傾き・ねじれや足元(回内足)など、ご自身では気づけない土台のゆがみが残っていることがあります。中臀筋が「弱い」のではなく、骨盤が傾いているせいで力を発揮できる位置にないというケースも少なくありません。
1 検査で「なぜ膝が内に入るのか」を特定
骨盤・股関節・足元まで、ニーインの原因をチェックします
2 緊張した筋肉をリリース
大腿筋膜張筋・腸脛靭帯まわりの張りを丁寧に緩めます
3 骨盤・股関節から整える
中臀筋が働ける位置に土台を戻します
4 走りながら治す計画
練習量の調整・フォームの注意点・テーピングまで含めてご提案します
📍 POINT
【選べる施術スタイル】当院では、しっかり関節を矯正する「ボキボキ整体」と、音を鳴らさない「ソフト整体」のどちらにも対応しています。ご希望とお体の状態に合わせてご提案しますのでご安心ください。
「骨や神経に問題があったらどうしよう」と不安な方も、まずは一度、当院で見せてください。国家資格者が検査で状態を確認し、医療機関での画像検査が必要と判断した場合は、当院から紹介状をお書きして連携します。順番に迷って動けないまま悪化させてしまうのが一番もったいないパターンです。
実際の来院例:10km走ると膝の外側が痛むランナー
一宮市在住の40代男性・会社員の方。「大会に向けて距離を伸ばしたら、10kmを過ぎたあたりで膝の外側が痛むようになった。休むと治るがまた同じ場所が痛む」との訴えで来院されました。検査では右の中臀筋の出力低下(片脚立ちでのふらつき)、大腿筋膜張筋の強い張り、そして骨盤の傾き。膝そのものには大きな問題がなく、原因はすべて膝の「上」にありました。
施術では大腿筋膜張筋と腸脛靭帯まわりを緩め、骨盤を調整したうえで、中臀筋スイッチを毎日の宿題に。あわせてピッチを5%上げる走り方に切り替えていただきました。数週間後には「痛みを気にせず距離を踏めるようになった」とご報告いただきました(※経過には個人差があります)。
よくあるご質問
Q. 走るのを完全にやめるべきですか?
A. 痛みが強い時期は負荷を落とす必要がありますが、完全休止だけでは原因(体の使い方)が残ります。状態を見ながら「走りながら整える」計画をご提案します。
Q. ストレッチだけでは足りませんか?
A. 硬い筋肉を伸ばすことは大切ですが、サボっている中臀筋は伸ばしても目覚めません。「緩める」と「使えるようにする」はセットで必要です。
Q. ランニング用のインソールは有効ですか?
A. 回内足(土踏まずがつぶれる)が強い方には有効な選択肢です。足の状態を検査したうえで必要性をご提案します。
Q. 大会が近いのですが間に合いますか?
A. 残り期間によって優先順位が変わります。まず今の状態を見せてください。当日を走り切るための現実的なプランをお伝えします。
Q. どのくらいの頻度で通えばいいですか?
A. 練習量と症状の程度によります。初回の検査で目安をお伝えし、無理な回数の押し付けはいたしません。
🔗 関連ページ
▶ 鵞足炎(膝の内側が痛むランナーへ)
▶ シンスプリント(すねの内側の痛み)
▶ 足底筋膜炎(朝の一歩目のかかとの痛み)
▶ 骨盤矯正(ニーインの土台を整える)
▶ 変形性膝関節症(膝の痛みが長引く方)

「膝が痛いから走れない」を、来シーズンまで持ち越さない。
痛みの原因を、膝の上から一緒に整えていきましょう。
参考文献
- van Gent RN, et al. Incidence and determinants of lower extremity running injuries in long distance runners: a systematic review. Br J Sports Med. 2007.(ランナーの障害発生率19.4〜79.3%、膝が最多部位)
- Niemuth PE, et al. Hip muscle weakness and overuse injuries in recreational runners. Clin J Sport Med. 2005.(障害のあるランナーは股関節外転筋が弱い)
- Heiderscheit BC, et al. Effects of step rate manipulation on joint mechanics during running. Med Sci Sports Exerc. 2011.(ピッチを5〜10%上げると股関節・膝の負荷が減少)
- Fredericson M, et al. Hip abductor weakness in distance runners with iliotibial band syndrome. Clin J Sport Med. 2000.(腸脛靭帯炎ランナーの股関節外転筋力低下)
店舗情報

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